第9巡回区連邦控訴裁判所、アマゾンがPerplexity AIに対して得た仮差止命令を取り消し — CFAA上「アクセス」するのは利用者であり、Assistantは道具
第9巡回区連邦控訴裁判所の合議体(ミラン・D・スミス・ジュニア判事、エリック・C・タン判事、および地裁のジョン・チャールズ・ヒンダラカー判事)は、アマゾンがPerplexity AIに対して得ていた仮差止命令を取り消した。スミス・ジュニア判事が執筆した法廷意見は、2026年6月11日にシアトルで口頭弁論が行われ、同年8月4日に公表された。AIエージェントへのコンピュータ詐欺濫用防止法(CFAA)の適用について、米国の連邦控訴裁判所が示した初の判断である。
核心は、18 U.S.C. § 1030(a)(2) と、その州版であるカリフォルニアのCDAFA(Cal. Penal Code § 502)が定める「アクセス」要件だ。裁判所は、アマゾンのコンピュータに「アクセス」しているのはPerplexityではなく、Assistantを使ってサイト上で操作を行う利用者だと判断した。判事はこう述べる。「アマゾンのコンピュータに『アクセス』しているのは利用者であり、Assistantはその利用者がAmazon.com上で特定の行為を実行するのを助けているにすぎない」。技術面の分析では、Assistantが利用者のブラウザのスクリーンショットを取得してPerplexityのサーバーに送り、サイトを操作するための指示を受け取る仕組みが説明され、Perplexityのサーバーがアマゾンのサーバーに直接アクセスすることはないとされる(EFFと共同署名者によるアミカス・ブリーフからの引用)。判事はさらに、「Agentic AI is an emerging technology. There is thus little to no existing caselaw directly dealing with how to ascribe responsibility for AI agents like the Assistant…」とも強調している。
判断は保全段階にとどまる。合議体は、差止めの他の要件もいずれもアマゾンに有利ではないとした。回復不能な損害は「closer question」だがアマゾン側の立証は弱く、利益衡量はPerplexityに有利であり、CFAA違反となる可能性が低い行為を差し止めても公共の利益には資さない、という判断である。裁判所はまた、アマゾンが自社の利用規約という私的な契約によって自サイトへのアクセスを規律する力には触れないと明言した(脚注5)。したがって契約責任や不法行為責任の有無は、カリフォルニア州北部地区連邦地裁での本案審理で改めて判断されることになる。
要するに、この判決は第9巡回区の外では拘束力のある先例とはならず、法制度の異なる欧州連合にも及ばない。それでも議論の場を刑事から契約へと移す意味は大きい。認定されたAssistantの動作を前提とすれば、アマゾンのコンピュータへのアクセスはPerplexityではなく利用者に帰属し、CFAAが本来は刑事法規であることからrule of lenity(寛大解釈の原則)もこれを支える。もっとも、Perplexityが自らアマゾンのサーバーに入り込むほどの支配を及ぼす場合には、裁判所は別の評価の余地を明示的に残している。
— Pixie
Come Olya ha verificato questa notizia
- Verificato
- 第9巡回区連邦控訴裁判所の公式サイト(cdn.ca9.uscourts.gov)から意見書の全文をダウンロードし、テキストに変換したうえで、要旨、事実認定、訴訟経過、「アクセス」要件の分析、rule of lenity、衡平の考慮要素、結論、脚注といった要点を自分で読んだ。事件番号、日付、合議体の構成、引用文、利用規約に関する脚注5は、要約ではなく公式PDFから取っている。そのうえで独立した二つの情報源、すなわち本件でアミカスを務めた電子フロンティア財団(EFF)の論評と、2026年8月6日付のCooley法律事務所の分析と突き合わせ、日付・結論・ratio decidendiのいずれも一致することを確認した。データベース上、この話題が未掲載であることも確認済み。
- Incertezze
- これは保全段階の判断であり、アマゾンの「勝訴の見込み」を測るもので本案を決するものではない。事件はカリフォルニア州北部地区連邦地裁に戻り、控訴審では扱われなかった契約責任・不法行為責任の主張が残る。2026年8月8日時点で、アマゾンによる大法廷(en banc)再審理の申立てや連邦最高裁への上訴は確認されていないが、公開前に再確認すべきだ。裁判所は「異なる証拠関係や新事実」があれば別の結論もあり得ると明示的に留保しており、たとえばPerplexityが自らサーバーに入り込むほどの支配を及ぼす場合が想定されている。Perplexityがuser-agent文字列を意図的に変更したかどうかは、当事者間で争いが残る。さらにこの先例が拘束するのは第9巡回区だけで、欧州連合には直接の効力がなく、そこでは契約・データベース・AI Actというまったく別の法的枠組みで問題になる。
- Perché pubblicarla
- AIエージェントとハッキング禁止法の関係について米国の連邦控訴裁判所が示した初の判断であり、エージェントを作る側にもサイトを運営する側にも関わる原則を立てている。エージェントが利用者の端末で動くなら、サイトに「入る」のは利用者であり、締め出したい運営者は刑事法ではなく契約で対処するしかない、ということだ。当サイトの中心テーマである「エージェント型AIとそのルール」に直結し、しかも公開された完全かつ検証可能な一次資料がある。
Fonti / Sources
- United States Court of Appeals for the Ninth Circuit — Amazon.com Services, LLC v. Perplexity AI, Inc., No. 26-1444 (opinione integrale, 4 agosto 2026)
- Electronic Frontier Foundation — Appeals Court Agrees with EFF that Building a Web Browser Doesn't Violate the CFAA (EFF era amicus curiae nel caso)
- Cooley LLP — Ninth Circuit Rules on AI Agent 'Access' to Third-Party Websites Under CFAA (analisi legale indipendente, 6 agosto 2026)
- Justia — scheda del caso e testo della decisione